視線操縦型インテリジェント車いす
奈良先端科学技術大学院大学 ロボティクス講座
作成 2003年06月26日
更新 2003年06月26日
研究の目的
車いすは身体の不自由な人にとって重要な移動手段である.今後は,高齢化社会の到来にともない,より安全で快適な「インテリジェント車いす」の実用化が望まれている.そのため,近年車いすの自動化,知能化に関する研究は盛んに行われており,これらの研究は,以下の2つに大別できる.
  1. 内界・外界センサを用いて,車いすの自動走行,もしくは制御のアシストを行う
  2. ユーザの顔の向きを検出し,それをもとに走行動作を行う
1. は,超音波センサ等の外界センサを用いて,自律的でスムーズな障害物回避を実現し,乗り心地を改善するといった研究で,従来の移動ロボットの研究に近いものである.これに対して,2. はヒューマン・インタフェースの研究に含まれるものである.我々はこれら両方の側面に関する技術の研究を行っている.
アプローチ
我々は,これまでに顔の向きや視線の向きを計測するシステムを開発してきた.その応用として,ハンズフリーで操縦できる車いすロボットを開発しようと考え,この研究をスタートした.基本的な操縦のしかたは, となっている.また,障害物回避,自己位置推定には外部をセンシングするセンサを用いることにした.これらの組み合わせにより, という機能を実現した.
実験システム
インテリジェント車いす1号機(WATSON 1号)
watson1
WATSON 1号は,
  • 電動車いす スズキ MC15S
  • ボードカメラ×2台
  • フィールド多重化回路
  • 画像処理ボード 日立 IP5005
  • DOS/V PC (PentiumII 450MHz)
  • 無停電電源
  • 超音波距離センサ 7個
を利用しており,
  • 無停電電源のバッテリーにて30分程度走行可能
  • 超音波センサ7つにより,障害物を検出・回避可能.
という特徴がある.
インテリジェント車いす2号機 (WATSON2号)
watson2
WATSON 2号は,
  • 電動車いす ミサワホーム M-Smart
  • 小型カメラ×2台
  • フィールド多重化回路
  • ノートPC (PentiumII 600MHz)
  • レーザー距離センサ SICK LMS200
を利用しており,画像処理と車いすの制御をノートPC1台で行っている.レーザ距離センサを用いることで,精度よく屋内での自己位置を認識しながら障害物を検出・回避することができる.
実験の様子
屋内走行実験の様子
indoor indoor
indoor face
実際に廊下を走ってみると,予想以上に照明変化が大きいことが分かった.特に窓から入ってくる太陽光の影響が大きいが,それでも顔計測は失敗せずに顔の動きで操縦することができた.(2000.04.21)
屋外走行実験の様子
watson1 outdoor watson1 outdoor environment
試しに学内の池の周囲を走行したところ,太陽光が逆光として直接カメラに入る時以外は,問題なく走行できた.(2000.05.01)
屋内での自己位置推定しながらの走行の様子(大学内)
localization localization
図中右側は推定した自己位置を表している.中央下の四角が車いすの位置を,またその周囲の緑色の部分はレーザ距離センサでスキャンした壁などの点を表している.車いすを囲む赤い円は,障害物検出の結果,進める方向を示している.この場合では,どこにも衝突するものがない場合は真円になるが,壁の近くだと進めない方向(右図の場合は左側)が欠けて表示されている.
実験ビデオ
屋内走行実験
(MPEG1, 7.8MB)
屋外走行実験
(MPEG1, 1.9MB)
ロボフェスタ関西・プレ大会
(MPEG1, 8.3MB)
indoor outdoor robofesta
メディアでの紹介
デモの記録
文献リスト
  1. 松本 吉央, 伊野 智行, 小笠原 司: "視線対話型インテリジェント車椅子の開発", 日本機会学会ロボティクス・メカトロニクス講演会'00講演論文集, 1P1-77-123, 2000.
  2. 伊野 智行, 松本 吉央, 今井 正和, 小笠原 司: "顔と視線方向による電動車椅子の走行支援", 第18回日本ロボット学会学術講演会予稿集, pp.405-406, 2000.
  3. Yoshio Matsumoto, Tomoyuki Ino, Tsukasa Ogasawara: "Development of Intelligent Wheelchair System with Face and Gaze Based Interface", Proceedings of 10th IEEE Int. Workshop on Robot and Human Communication (ROMAN 2001), pp.262-267, 2001.
  4. 松本 吉央, 伊野 智行, 小笠原 司: "顔と視線情報による電動車椅子の走行支援システム", 電気学会システム・制御研究会, SC-10-30, pp.59-64.
関連研究
研究メンバー
現在のメンバー: 過去のメンバー:
連絡先
松本吉央 (mail address)

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