人とインタラクション可能なヒューマノイドロボットHRP-2
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 ロボティクス講座・音情報処理学講座
和歌山大学 システム工学部 デザイン情報学科 聴覚メディア研究室
作成 2005年08月11日
更新 2005年08月11日
研究の目的
これまでのヒューマノイドロボットの研究では,歩行をはじめとした「動作生成」に重点がおかれていた.しかし,今後ヒューマノイドがオフィスや一般家庭へ普及していくためには,音声やジェスチャを用いて自然に人とインタラクション(対話)する機能が欠かせない.そこで,本研究では我々がこれまでに開発してきた「受付案内ロボットASKA」の対話機能を発展させ,HRP-2上に実装することで,「人とインタラクション可能なヒューマノイドロボット」を実現することを目的とする.
ヒューマノイドと人の対話イメージ
ロボットのハードウェア
ヒューマノイドロボットHRP-2 ヒューマノイドロボットHRP-2
HRP-2は,経済産業省が1998年から5ヵ年計画で実施した「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」(HRP:Humanoid Robotics Project)の中で川田工業,産業技術総合研究所らが共同開発したヒューマノイドロボットである.主な特徴は,
  • 身長154cm,体重58kg,腰2軸を含む30自由度と,軽量多自由度を実現
  • 股関節が片持ち構造で隘路歩行可能
  • 高密度電装系実装によるバックパックのない外観
  • 不整地歩行,転倒制御,転倒回復動作の実現を計画
  • オープンアーキテクチャで,ユーザによるソフトウェア開発が可能
となっている.
カメラシステム 8チャンネルマイク 4眼カメラシステム
小型IEEE1394カメラのFLEA(PointGray社)を合計4台,頭部に内蔵した.望遠(人の顔を見るため)と広角(指さし等のジェスチャを見るため)の2組のレンズを取り付け,それぞれでステレオ視ができるようにした.

8チャンネルマイク
頭部カバーに8チャンネルのマイクロフォンアレイを組み込み,また音声信号の取り込みのために8チャンネル音声入力ボードTD-BD-8CSUSB(東京エレクトロンデバイス社)を頭部に組み込んだ.さらに,これまではサポートされていなかった16kHzサンプリングが可能なLinux用デバイスドライバを開発した.
専用いす ペンホルダ 専用いす
テーブルの前に座った状態でのデモを行うため,専用の椅子と足置きを作成した.座らせた状態では,安定させるためHRP-2本体は椅子に,また足は足置きにそれぞれボルトで固定する必要があるので,歩行のデモを同時に行うことはできなくなる.

ペンホルダ
ペンで絵を描くデモを行うため,ホワイトボードマーカをHRP-2の手に取り付けるためのペンホルダを作成した.ロボットの手先位置制御における多少の位置誤差を吸収するため,ペンホルダにはバネが内蔵されている.
ロボットのソフトウェア
音声認識機能
頭を叩かれたことを音で認識している様子
音声認識機能
  • 大語彙連続音声認識ソフト Juliusを利用し,語彙数は約2万語
  • 挨拶,施設の案内,時刻・天気情報の提供などが可能
  • ハンドマイクなしで,1m程度離れたところから話しかけても認識可能
  • 子供・大人の声を判別
  • 咳・くしゃみ,頭をたたかれた,などの非定常雑音を識別
画像認識機能
(左から)視線の認識,指さし方向の認識,顔の切り出しの様子
画像認識機能
  • 人の顔の動き,視線の動き,表情,指さし動作などを認識
  • 人とアイコンタクトしながら対話ができる
  • 音声認識だけでは分からない「それ」などの言葉が指すものを認識
  • 背景から顔を抜き出して似顔絵を描くことができる
愛知万博での実証実験
会場全景
会場外観
愛知万博の「キッコロモリゾーメッセ」を会場としたプロトタイプロボット展(2005年6月9日〜19日)において11日間,デモを行った.このイベントには毎日1万人以上,合計で十数万人の来場者があり,混雑時には1時間以上の待ち行列ができるなど大盛況であった.
ステージデモの様子
ステージデモ
我々のHRP-2は,ステージにてMCつきの約10分間のデモを毎日2回行った.会場では その他のブースでもMCつきデモが同時に行われており騒音がひどいため,ハンドマイ クを用いてデモを行った.ステージ前に集まった子供からお年寄りまで多数のお客さん に見守られながら,デモは(2回を除き)成功裏に終わった.
デモの様子
デモ内容
MCによるロボットと出演者の紹介のあと,出演者はまずお客さんに向かって「こんにちは」と 挨拶.続いてロボットに向かって挨拶すると,ロボットは自分が話しかけられたことを 認識して返答する.また,出演者が咳をすると「咳してますね,風邪ですか?」と反 応する.次に「その新聞取って」とテーブル上に2つある新聞のうちの1つを指すと,そ れを取って渡してくれる.「似顔絵を描いて」と頼むと,似顔絵デモの開始.「こっち を見て下さい」と言われてロボットの方を向くと,ロボットは顔を認識して絵を描き始 める.書きながらもロボットと出演者は会話を続ける.3分程度で似顔絵を描き上げた ら,出演者がお客さんに絵を披露してデモは終了.
ビデオ
万博デモ
(MPEG1, 9分27秒, 76.5MB)
万博デモ
文献リスト
  1. 怡土順一,佐々尾 直樹,近藤 理,末永 剛,松本 吉央,小笠原 司: "HRP-2によるマルチモーダルインタラクション", 第23回日本ロボット学会学術講演会予稿集, 2005.
  2. 佐々尾 直樹,近藤 理,末永 剛,怡土 順一,松本 吉央,小笠原 司: "HRP-2による似顔絵描きの実現", 第23回日本ロボット学会学術講演会予稿集, 2005.
開発メンバー
連絡先
松本吉央 (mail address)

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